食と性のマリアージュ

お菓子のキャラがわいせつ? クレームを付けた男性に批判が殺到。

こんなものがなんの問題もなく売られていたことに、おれもいささかショックである。
お菓子のパッケージで、ライムやチェリーやレモンをモチーフとしたキャラクターが用いられるのは、そういうフレーバーなのだから問題ないだろう。しかしなぜキャラクターがじゃれあっていて、おまけにライムがチェリーを舐めているのか、ライムがレモンを脚のあいだに抱きかかえているのか、理解に苦しむ。シンプキンスさんの主張はもっともだとおもう。
チェリーライム味=チェリーとライムの融合であるなら、それを性的な結合のイメージによって表現することは、もちろんじゅうぶん理解できる。しかし、それをお菓子のパッケージに用いることにはやはり納得できない。あからさますぎるのではないだろうか。米国のジャーナリスト、ウィルソン・ブライアン・キイが著した『メディア・セックス』は、広告表現のなかにいかに多くの性的なメッセージが多く含まれているかを剔抉してみせ、いわゆる「サブリミナル効果」の仕組みを明らかにした。

メディア・セックス (集英社文庫)

メディア・セックス (集英社文庫)

しかし、このお菓子のパッケージにはなんの工夫もない。サブリミナルではなく「まんま」の性描写である。

HARIBO Dunhills社は「『MAOAM』マン」は2002年に誕生して以来、「子どもからお年寄りまで、非常に人気がある」と、毅然とした態度を見せている。

居直りもはなはだしいのではないか。とはいえ、これが実際に受け入れられてきたのだからいままで問題にもならなかったのだろうし、サン電子版にコメントを寄せるイギリスのネチズンがどれだけ世論のマジョリティを反映しているかはさておいても、シンプキンスさんの訴えが異常とされていることはどうやら疑いない。マスメディアが流す性的なイメージの洪水に感覚が鈍麻しているほうが、おれにとっては異常なのだが。
HARIBO Dunhills社には、ぜひとも「チェリーバナナ味」を発表していただきたいところだ。そして「いやらしい表情」で笑うバナナの下に、チェリーが2つぶら下がっている絵をパッケージに希望する。すると、今度は多分フェミニズム団体がクレームをつけてくるだろうから、その次はイチジクザクロ味を……。