こういう書き足しとかさ

ようやく耳の診察に行くことに。例の△△病院へ自転車で。
まずは聴力検査。前回と段取りは同じだ。なぜかやたらと冷や汗をかき(なぜかは本当はわかっている。書くのはちょっと面倒ってだけだ)やたら指が滑ってボタンを正確に押せなかった。
検査後、カルテを受けとって耳鼻科の待合室に戻る途中、なかを覗いてみた。あっちの病院からの手紙(退院時に渡され、今回おれが持参したものだが)が入っていたので目を通すと「右側頭葉に脳挫傷」の文字が飛び込んでくる。こうして書かれてあるのを見るとかなりインパクトがあるものである。自分の身体感覚よりも事態が重篤に感じられるのが不思議だ。もはや嘔吐感もなく、生活にはまあ支障はあるものの「そのうち治るだろう」という程度にかんがえているおれが、どこかおかしいのかも知れない。
診察室に入ると、例の医師がやたらと重苦しい顔をしている。
気導での聴力はちゃんと戻ってきているようだ。あっちの病院では服薬を止められ、とにかく入院中はまったく放置されていたというのに不思議なもんだ。鼓膜もきれいになってきているとのこと。丈夫なもんだねえ。
重苦しい顔のまま説明を行い、医師はさらにこう続けた。顔面神経麻痺に関して、あまりに改善が見られないとかあるいは悪化するようなことがあったらこっちで手術する、と。顔面神経管は中耳のちょうど鼓膜の奥の部分にあるので、中耳に血が溜まって圧迫してそういう症状が出たのであれば、容体の変化次第では耳鼻科的な手術が必要らしい。
そうした説明を行いながら、なんだかいまにも謝りはじめそうな様子であった。口調も前回に比べやたらと丁寧になっている。また、あっちの病院がこれまで連絡をしなかったことについて明らかに不満あり気だった。
医師の指示を受け、あれこれと百面相をして見せた。それを受け、上瞼を閉じるという動きは顔面神経でなく動眼神経の支配だがと医師は前置きをして、眉が動くので緊急手術とはならないだろうが前回も耳を診察した2日後に顔面神経麻痺の症状を起こしているわけだから急変しないとは言いきれないし、来週火曜あたりにとにかく一度様子を見せて欲しいと言った。
手のこともずいぶんと気を遣ってもらった。右利きの人が左手を怪我するとあまり大事にみないことが多い、ベースやってるということをしっかり伝えたほうがいい、云々。ああ、この先生にはベーシストということになっているのだなとおもいつつ、言ってるのだがあっちの病院は固定してるだけでろくにみてくれないと答えた。
「そうですか。このくらい大きな怪我になると医者も細かいところまで説明が行き届かないこともあるとおもいますので、わからないことはどんどんきいてください。うちはもう、電話で質問も構わないですから」
医療はサービス業であるがいろいろと大変なものである。そっちをかんがえるほうが気が重くなるおれが、どこかおかしいのかも知れない。「外傷後の顔面神経麻痺は顔面神経管を開放することもあるかと思いますので、早急にご連絡いただければよかったと思います」とあっちの病院宛の書状にあったのがまたおもしろいものである。
いや、気が重い。