まあ、寒いしおセンチにもなりますよ。

だんだんと拳がつくれるほどに、左手が握れるようになってきた。しかし折れた部分が部分だけに*1これで殴るのは結構怖い。拳が相手に当たる面を形成する部分の骨であるから、いくらくっついたとはいえども衝撃が気にならないと言ったら嘘になる。いや別にいまのおれになにかを殴る「必要」はとくにないのだが、どうしてわざわざそんなことをかんがえるのかねえこのバカは。
小指が熱を帯びたが、ほかの身体部位を触ってごまかす。冷やすとこの天気じゃ寒くなる。おのれの玉袋を強く握り締めてみた。
ひたすら手を動かしてすごす。いやそういう意味じゃなくて。


白い巨塔」の再放送シリーズ第2回を見た。どうにも泣いてしまう。
田宮版を見たのは大学生のときだ。サンケイスポーツの記事にこうあるということは、フジテレビが認めていない正体不明のものということになってしまうと言えるかとおもうのだが(言えるわけがない)ともあれおれの記憶では18年ほど前に田宮版の再放送を見たことになっている。平日の午前中に「おはよう!ナイスデイ」かなんかのワイドショーが終わったあと、いまの「こたえてちょーだい!」なんかの枠で連日流れていた。
当時おれは、自分が参加していたバンドのヴォーカルと毎日のように「きょうの白い巨塔」について電話で語りあっていた。インターネットもなかった時代だが、貧乏大学生とフリーターのバンドマンがそんな話題を通じて熱くなるというのはけっして珍しいことでもなかったのではないかというような気がする。もちろん十分に変な気はするが。
あの当時インターネットがあって2ちゃんねるがあったら、おれも彼もドラマ板や実況板の住人となって騒いでいたかも知れない。いや、その再放送でとくに話題になったわけでもなかったから、あまり盛り上がらなかっただろうか。大学の友人をはじめ周囲の人々に尋ねてみると、再放送中であることを知っている人間は少数だった。その程度の認知ならスレも1000行かずに落ちただろうか。
いずれにせよ「白い巨塔」は田宮版・唐沢版ともにおれにとってかなりおもい入れの強いドラマである。怪我で療養中の身で振り返るにはいささか重たいのかも知れない。財前と里見は、言わずもがな同じ人物の異なる相貌である。財前の野心をもってして里見の正義を貫くと、気づいたときには周りから人が遠ざかっていなくなっているのが世の中である。おれと彼は当時はなにかと衝突することが多かった。合わせ鏡のように。正確に言えば、鏡の前に置かれた一対の合わせ鏡のように。より正確に言えば、一対の合わせ鏡を映し出した一枚の鏡の前に置かれたもう一対の合わせ鏡のように。くどいからいいわ。あのころをおもい起こすとともに、自分がその後18年間ほどどのように動いてきたのか軌跡をたどるという作業は、療養中にはもしかすると酷なのかも知れない。


2ちゃんねるガイドライン板に現在こんなスレがある。
【心より】財全教授のガイドライン2【恥じる】
http://that3.2ch.net/test/read.cgi/gline/1081014390/l50
最終回の名台詞のパロディを貼りまくるスレだ。
このスレはその前スレもが
【心から】財前教授のガイドライン【恥じる】
http://that2.2ch.net/test/read.cgi/gline/1079619758/
という具合にいきなりスレタイが間違っている斬新な趣向となっているが、内容は丁寧に練られたコピペ改変がつまっていてとても楽しいものだ。
前スレはすでにdat落ちしている。そのなかの3月27日2時43分づけの素晴らしい投稿を紹介したい。

亀田へ
この手紙をもって僕のボクサーとしての最後の仕事とする。
まず、僕の敗因を解明するために、ジョー小泉氏に分析をお願いしたい。
以下に、ウィラポン打倒についての愚見を述べる。
ウィラポン戦での勝利を考える際、第一選択はあくまでフットワーク主体の
アウトボクシングであるという考えは今も変わらない。
しかしながら、現実には僕自身の場合がそうであるように、対峙した時点でサウスポー
殺しのいきなりの右ショートストレートやを食らいまくる例がしばしば見受けられる。
その場合には、玉砕を含むインファイトが必要となるが、残念ながら未だ満足のいく
成果には至っていない。
これからの打倒ウィラポンの飛躍は、アウトボックス以外のの攻略法の発展にかかって
いる。
僕は、君がその一翼を担える数少ないボクサーであると信じている。
能力を持った者には、それを正しく行使する責務がある。
君には打倒ウィラポンに挑んでもらいたい。
遠くない未来に、ウィラポンによる敗北がこの世からなくなることを信じている。
ひいては、僕の試合をビデオ研究の後、君の研究材料の一石として役立てて欲しい。
敗戦は生ける師なり。
なお、自らバンタム級の第一線にある者が4度挑戦しても王座を獲れずできず、無冠の
まま引退することを心より恥じる。
                              西岡利晃

ここまで美しくまとめられると腹立つね(笑)。それだけに誤字の「のの」とか「獲れずできず」が残念。改行は少し変えさせていただきました。
今年の3月6日に行われたWBC世界バンタム級タイトルマッチ「ウィラポン・ナコンルアンプロモーション×西岡利晃」を受けての投稿である。インファイトウィラポン抑えられたらそりゃいいんですよ。わかっちゃいるがパワーもテクニックも……ねえ。
あ、合わせ鏡だ。より正確に

*1:左手環指基節骨基部骨折。部位の画像は、右手になるがこちら