得がたいパートナーの存在を再確認する。

池袋に到着後コンビニでトリスのスキットを2本買い込み、軽く呷りながら新文芸座へ。開場時間の22時を少しまわったところだった。当日券を求めるが余裕の140番。すでに前売券持参の客を入れていたが、ほどなくおれも入場できた。
奇しくも「倉田保昭ワンマンショー」のときと同じ席に座った。たまたまそこが空いていただけだが、重なると因縁を感じる。まあ、だいたい前から3列目なんて席に座りたがるからこそその近辺の空席が目に入るのだろう。
席に腰を下ろし、こっそりとトリスを呷っているとやがて開演。若松孝二の著書「時効なし。」の編集担当者の司会進行ではじまり「不良度たっぷりのお二方にお越しいただいております」との声で舞台袖からそのお二方が現れた。わあ(笑)。
一応舞台中央には小さなテーブルが設けられており、そのまわりには司会者の分も含め椅子が三脚据えてあった。テーブルの上には「生茶」のペットボトルと紙コップ。しかし若松孝二内田裕也は「アサヒスーパードライ」の350ml缶をもって登場。まったくもって期待を裏切らない方々である(笑)。でも打っていたかどうかはわからなかった(id:mackerel_can:20050313)。


トークショーは実におもしろかった。とはいえ、客にわからない話があまりに多すぎたのではなかろうか。会場がどっと沸くところと、おれがもうおかしくて仕方ないのをなんとか噛み殺しているところが極端にずれていたように感じた。むしろおれが笑いを噛み殺しているところは会場がドン退きになっているような、そんな気配が後方から漂ってきていた。ヤバいかねえ、あの話とかあの話とかあの話。
というわけでトークショーの内容についてはここではあまり書かないでおくことにする。が、このくらいは書いてもいいだろう。それがきょうの見出しにも繋がる話である。
「内田さんはホント義理堅くて、まずアイデアをわたしのところにもってくるんですね。『オヤジ、こういうのやりたいんだけど』って。それでわたしは『これはおれが撮るもんじゃないからほかの監督にもってって』って言うんですよ。そうすると臍曲げちゃうんです。それはもう撮影のときもそうですよ。○○の撮影中だったんですけど、わたしの机の上にたまたま話がきた××の脚本がおいてあって、それを内田さんに見つかっちゃったんですね。そうしたらもう大変でね。内田さん怒っちゃって『いま○○撮ってるのになんでよその脚本なんか机の上に開いてるんだ』って言われまして」
「その辺については、いずれ自著で発表したいとおもってます」 
こう書いてみると「ヤバい話」なんかなにもない……よな。じゃあおっけー(笑)。
このようなおもしろいトークショーのあと、ロビーで若松監督によるサイン会が開かれた。おれは監督の著書の「時効なし。」をカウンターで買い求め、それにサインをしてもらい握手をした。
柔らかくごつい手だった。おれは強く握り返し「話、おもしろかったです」と言った。


ロビーが静まってから上映開始。作品は次のとおり。
金瓶梅
『餌食』
『処女ゲバゲバ』
『水のないプール』

どの作品もあえておれが論ずるまでもない驚くべき作品群である。

多作家に駄作なし。とあらためて認識するとともに、得がたいパートナーがいてこそものをつくることができると再認識した。
そしてなによりも、先週うっかり寝てしまって見そびれたことをひどく悔やんだ夜だった。