近況

たまにログインしては知人の日記を読んで楽しんでいたが、自分が書くのはずいぶんとご無沙汰してしまった。理由は単純。ひとえに仕事が忙しいからである。ようやく少し落ち着いたのでこうして書いている。
自分のむかしの日記を読むと「おもしれえなあ」と相変わらず自画自賛してしまうのだが、同時に、あっという間に月日はすぎていくものだとしみじみおもう。月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なりとはよく言ったものだ。
紆余曲折の多い流浪の人生を歩んできたが、そんな旅人の生活から脱却しつつある。いまの会社に就職してから1年と8か月がすぎた。ずいぶんと安定しているとおもう。日記を読み返しておもうことは、あっという間にすぎた月日に感じ入るとともに、ようやく社の通年業務サイクルが把握できてきたかなということだ。2005年の暮れには隣の部署の繁忙ぶりを記しているが、その1年後に自分がその業務の中心人物になるとは予想だにしていなかった。約3か月ほどあちらへ転属して業務のディレクションを行い、終えてもとに戻ってからほどなくまた例のプロジェクトがはじまった。それがやっと終わろうとしている。去年のおれの誕生日の前日に終わったこのプロジェクトだが、今年は進行が遅れていてまだ残務整理がある。
およそ穏やかな誕生日を迎えたとは言いがたいが、今年は多くのプレゼントをいただいてとても嬉しかった。妙齢の女子社員からはイカの乾物とカミツレのハンドクリーム、娘にしたいほどかわいらしい契約社員からはオレンジのリキュール、課長からはウルトラセブン全話DVDコピーとチョコレートの詰め合わせ、部長代理からは扇子。いずれも、まるでおれがねだったかのように趣味嗜好を反映していてありがたい限りだった。なんだかんだとみなさんよくおれを見ているのだなあという実感があって、感慨無量だった。
このプロジェクトが終わると、秋口までこつこつとひたすら情報処理が続き、そしてまた10月ごろには隣へ移るのだろう。実に落ち着いている。これまでの人生を振り返っても、最も安定していると言ってもよいかも知れない。40歳になってようやく真人間に近くなってきたという喜びがある。あとは嫁がいればなあといったところか。
そんな日々なので、音楽からはずいぶんと遠のいてしまった。知人のライブを見に行く機会も減ったし、自分自身がやることは家で楽器を少々いじる程度に留まっている。3月の末にヴァーミリオン・サンズのライブを見に行くことができたのは奇跡的だった。彼らとは20年来のつきあいになるが、やはりよほど縁が深いのだろう。
夏から秋口までの業務は、時間はかかるもののあまり頭を使わないので比較的楽だ。マルチタスクではないし地道な作業を粛々と行うだけである。そんな状態なので、ひとつ新作をつくろうかなとおもっている。知人から4トラックのハードディスクレコーダを譲り受けることになっているので、いじり倒してどれほどのものができるのか挑戦しようとおもう。まあ作風に変化はないだろうが。
その前にやることがあった。6月になったら絶対に大阪に遊びに行く。海遊館ジンベエザメの遊ちゃんにまた会いに行きたいなと数か月前からおもっていたのだが、先日訃報に接した。大変ショックだったが、新しいジンベエザメの海くんを見るのもよいかも知れないなとおもい直した。遊ちゃんは呼ぶと必ずこっちにきてくれたが海くんはどうだろうか。分厚いアクリル板越しにおれの呼びかけは伝わるだろうか。
こんな感じで、おかげさまで多忙ながらも充実した毎日を送っている。でも潤いは必要かな……。